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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第28局  観戦記 >
黒 溝上 知親  八段   対   白 結城 聡  九段

 

我慢は鉄則

2010年7月30日

 白60にスベられた黒は見るからに苦しく、そしてカッコ悪い。以下の手順もマネしたいとは思わない。黒73まででようやく生きを得た。こんな姿をさらすくらいなら、いっそ刺し違いにいったほうがマシと考える方は少なくないだろう。

 「我慢が大切と言ったのは、将棋の大山康晴十五世名人でした。自滅するのは簡単ですが、それは敵に楽をさせるだけ。我慢こそ、勝負の鉄則です」と横田解説者は話す。

 白優勢のムードが右上白74のカカリで一気にしぼんだ。黒75の一手でこんなに盤上の景色が変わるものなのか。

 お気づきだろうか。白74へ割って入った目的は▲への攻め。しかし黒75で白が攻めているとはいえない。

 白74は参考図の1が正着。それではっきり白攻勢、優勢だった。ところが、結城は黒2、白3と捨てられるのが怖かったという。

 横田「黒一子をのみ込めれば悪いはずがない。溝上さんの我慢がいいので、結城さんは自分の形勢判断を信じられなくなってしまったのです。これこそ、我慢のたまものです」

 黒61以下の手順、急にカッコよく見えてきた。

(松浦孝仁)

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