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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 高尾 紳路  九段   対   白 山田 規三生  九段

 

闘志

2010年8月19日

 下辺の石組みを見てピンときたらかなりの名人戦フリーク。第23局の趙治勲、結城聡戦で似た形があった。そのとき(白黒は逆)は白8、10に黒A、白12、黒B、白C、黒Dと進み、白11から出切ることに。

 高尾はどうしたか。黒11と一本余計にはって13へ。左下は白Aと封鎖されても生きさえあればとの判断だ。その代わり、右下で黒石三つがピンと張った好形を手に入れた。

 「黒11でAなら白12から押して白に不満はないはず。黒は7とのバランスが悪く、凝り形です。実戦黒11の工夫はうなずけます」と解説の石田章九段。白8で先にE、黒Fを交換して白8、10なら、黒13のツケが打てないため黒Aのトビとなる。しかし、白も右下を一度動いたため、簡単には捨てられない。つまり、白Gの三々入りを決行しにくくなる。

 と、序盤から水面下の駆け引きが激しい本局は、1勝の山田と5勝の高尾との顔合わせ。明暗はくっきり分かれてはいるが、山田の闘志は挑戦権を争っている高尾に少しも負けていなかった。格闘技のような一局を楽しんでいただこう。

 白14はこの一手。黒15に対する白16もこれしかない。白16を17は黒Hで、白石が左辺に偏るだけでなく、白地にまとめるのも大変だ。黒17の踏み込みに山田、ノータイムで白18を決断。戦わない手はない。

(松浦孝仁)

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