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< 第35期名人戦七番勝負第4局  観戦記 >
黒 井山裕太  名人   対   白 高尾紳路  挑戦者

 

貫き通す

2010年11月19日

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 勝ちが決まり、多くのカメラや報道陣が入ってきても、井山裕太名人の表情は硬いままだった。「4連勝できたのは、自分が一番びっくりしています」と、落ち着いたいつもの声でインタビューにこたえていた。

 すでに本紙でも報道されたとおり、井山名人が高尾紳路挑戦者をストレートで下し、初防衛を果たした。

 スコアは4勝0敗と一方的になったが、内容はどの碁も濃く、見応え十分だった。名人が「厳しい手を選ぶこと」を貫き通したからこそ、熱戦が生まれたのだと思う。

 名人位が決まった、シリーズ屈指の大激戦を振り返っていこう。

 名人は第2局と同じく、ふたつの小目でスタート。本局は黒5のシマリを選んだ。白6のカカリから12の高いヒラキまで、淡々と定石ができあがる。

 黒13のカカリに挑戦者は手を抜き、白14のヒラキに向かった。「14は、下辺のハサミに向かう棋士のほうが多いでしょうね」と解説の片岡聡九段。上辺にヒラくにしても、Aと控えるのも考えられる。挑戦者はたった2分の考慮で決断した。

 白16まで、ふつうの手の組み合わせなのに、あまり見たことのない布石になった。

 対局場は神奈川県秦野市にある「陣屋」。ふたりが対座する「松風の間」は、豊かな樹木をたたえた庭園に囲まれている。

(内藤由起子)

 消費 黒:25分 白:24分 (持時間各8時間)

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