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返り咲きか、初防衛か 第35期囲碁名人戦七番勝負

2010年8月27日更新

写真井山裕太名人

写真高尾紳路九段=いずれも鈴木好之撮影

表拡大名人戦7番勝負の歴史

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表拡大対戦成績

 第35期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)が9月1日、大阪府吹田市で開幕する。昨年、20歳の史上最年少名人となった井山裕太名人(21)と、4年前に遅咲きの30歳で名人となった挑戦者・高尾紳路九段(33)の激突。対照的な両者には、手厚く、碁盤全体を見ながら戦うという共通点がある。互いの感覚をぶつけ合っての結末は、若き井山名人の初防衛か、高尾挑戦者の返り咲きか。(伊藤衆生)

◆腰据えいろんな手を ―― 井山裕太名人(21歳)

 1年はあっという間。ついこのあいだ名人になって、いろいろな取材を受けて……。もう防衛戦が始まるっていうのは信じられない感じです。昨年までとは立場の違う七番勝負になるけれど、勝負に臨むにあたってはなにも変わらない。盤を前にしたら対局に集中するだけですね。

 高尾さんは非常に充実しています。最近すごく勝っていますし、劣勢の碁でも粘り強さがある。名人本因坊にもなられた方で、2日制七番勝負になると、さらに独特の強さを発揮する。それをぜひ肌で感じてみたい。高尾さんの碁はどちらかというとおおらか。その時々の形勢判断や大局観の勝負になると思いますね。

 以前と変わったといえば、最近は普段の対局でも秒読みになることが多くなったこと。2年連続で七番勝負を経験させてもらって、納得するまで考えたいっていう気持ちが強くなりました。今回も腰を据えて考えて、いろんな手を打ってみたい。

 今年は思うような戦いができていません。いままで経験したことのないような成績に、かなり不甲斐(ふがい)なさを感じています。だから、七番勝負は気持ちを新たに戦いたい。一昨年、昨年と「自分の打ちたいように打つ」をテーマに七番勝負を戦ってきました。その気持ちを忘れず自信を持って臨みたいですし、臨めると思っています。

     ◇

 いやま・ゆうた 大阪府東大阪市出身。石井邦生九段門下で、12歳入段(プロ入り)。2005年の阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦で公式戦最年少優勝(16歳4カ月)を飾る。07年、新人王戦優勝。08年、19歳で名人初挑戦。09年、再び名人挑戦者となり、七番勝負で張栩名人を破って20歳4カ月の史上最年少名人、あわせて七大タイトル戦史上最年少のタイトル保持者となる。同時に史上最年少で九段に昇った。日本棋院関西総本部所属。

◆記憶にも残る勝負に ―― 高尾紳路挑戦者(33歳)

 3年前に負けて、その時はまたすぐに打てるんではないかと思っていたんですけれど、若い井山名人も誕生し、もう遠い舞台のような気がしていました。またこの名人戦七番勝負という舞台に立つことができて大変うれしい。ちょっと戸惑うくらいうれしいです。

 井山さんはすごく強い名人だと思います。パンチ力があって接近戦が強い。その井山さんに1勝8敗。最初のうちはほとんど完敗といっていいほどでした。僕が年上なんだから普通、逆なんですけどね。でも今は、ようやく碁になってきた。僕にとって七番勝負は(本因坊戦を合わせ)8回目。時間は多いほうがありがたいタイプですし、8時間の碁で井山さんと初めて打てるのはうれしい。勉強させていただく気持ちで、一局でも多く打てるよう頑張りたい。

 この2年くらい成績があまりよくなかったのは事実ですが、最近は自分でも調子がいいと思います。ようやく挑戦できる状態になったのが、ちょうど挑戦者決定リーグ戦の最終戦を迎えたころでした。1年以上、挑戦手合を打っていないので、久しぶりだなっていう感じ。まあ普段どおりに戦います。

 過去2回の名人戦七番勝負は自分の棋士人生のなかでも印象深い戦いでした。今回も、振り返って記憶に残るような、自分でもよく頑張ったと思えるような勝負にしたいですね。

     ◇

 たかお・しんじ 千葉市出身。アマの故田岡敬一氏に師事、故藤沢秀行名誉棋聖門下。14歳で入段。1996年、新人王戦優勝。2005年、張栩本因坊を破って本因坊位を獲得する。同時に九段昇段。06年、本因坊初防衛。同年、名人初挑戦で張名人を破り、名人位に就く。史上6人目の名人本因坊となる。07年、本因坊3連覇達成。08年、十段位獲得。今年の名人戦リーグで4年ぶりに優勝(7勝1敗)し、挑戦権を獲得した。日本棋院東京本院所属。

第1局9月1、2日ホテル阪急エキスポパーク(大阪府吹田市)
第2局9月16、17日大和屋本店(松山市)
第3局9月22、23日古窯(山形県上山市)
第4局10月6、7日陣屋(神奈川県秦野市)
第5局10月13、14日常磐ホテル(甲府市)
第6局10月28、29日あたみ石亭(静岡県熱海市)
第7局11月4、5日鬼の栖(静岡県伊豆市)

◇持ち時間各8時間の2日制対局。一方のシリーズ勝ち越し決定時点で終了。

     ◆

 名人戦七番勝負の模様はアサヒ・コムの囲碁のページ(http://www.asahi.com/igo/)で随時お伝えします。

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