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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第3局  観戦記 >
黒 趙 治勲   二十五世本因坊   -   白 高尾 紳路  九段

 

絶叫の局

2011年2月3日

 終盤、久しぶりに趙の叫びを聞いた。いつもは優しさあふれる人柄なのに、盤に向かうと人が変わったようになる。自分に厳しい姿は痛々しいほどだ。

 「ああもう! どうしていつも同じことをやっちゃうんだ!」

 絶叫に近かった。碁会所でやらかしたら、それこそ出入り禁止だろう。でもプロの世界では別。高尾も、隣で対局していた王立誠、趙善津も平然としていた。相手の感情にいちいち反応しているようでは、勝負の世界を生き抜いていけないということか。記者はまだまだ修業が足りない。

 先番の趙、黒3に早くも12分の考慮。黒5、7にもそれぞれ3分、6分を記録する。高尾は白16まですべてノータイムだった。それも、趙が打つとすぐに石を持つくらいの速さで。彼のブログには「早碁ばかり打っていたので」とその理由が書き込んであった。早碁というのは昨年11月に中国の広州で行われたアジア競技大会と、12月に韓国で打った農心辛ラーメン杯のことだろう。ともに持ち時間は1時間。時間を使い切っての秒読みはアジア大会が30秒(ペア碁予選は45分持ちで、使い切ったら負け)、農心杯は1分だ。

 「白18はA、黒19抜き、白20も考えられるところ。実戦は黒21と広げさせて白22と入っていく作戦です」と解説の小松英樹九段。珍しく趙の石が上を向いている。

(松浦孝仁)

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