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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第10局  観戦記 >
黒 羽根直樹  九段   -   白 山下敬吾  本因坊

 

大逆転の局

2011年3月25日

 32歳の山下と34歳の羽根。棋聖戦と天元戦で2回ずつタイトルを争い、どちらも1勝1敗。通算5度目の激突となった昨年の本因坊戦七番勝負では、山下が奪取に成功した。そんな両者がしばらく名人戦リーグを留守にしていたことに、今さらながら驚く。山下は4期ぶり、羽根はなんと10期ぶりのリーグ復帰だ。「おかえり」と声をかけたくなる。

 その両者が2月の第3ラウンドで早くも顔を合わせた。みなさんが期待するのは、くんずほぐれつの大激戦か、それとも終局までもつれる半目勝負か。実はどちらにもあてはまらない。立ち上がりのポイントは一つ。羽根はこう振り返る。

 「黒13からの構想が問題でした。白14にヒラかれて、どう応じたらいいか……」

 黒13は白Aの割り打ちを嫌って当然にも見える。続いて白B、黒C、白15なら、黒Dの構えが絶好だ。右辺から下辺にかけて、立派な黒模様になる。しかし、山下は白14。ここから羽根はリズムを崩す。黒15に21分の消費を記録したことからも動揺がうかがえる。

 「白14に続いて白Bを許すと右上は大きな白模様になる。黒15、17は仕方ないでしょう。それでも、白18に黒19と裏から応えて一局の碁と思います」とは解説の石田章九段。

 黒13の是非はともかく、羽根の心の中に焦りが生じたのは確かなようだ。

   

(松浦孝仁)

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