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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第12局  観戦記 >
黒 溝上 知親  八段   -   白 張 栩  棋聖

 

超一流の証し

2011年4月7日

 一流棋士9人が争う名人戦リーグは木曜対局が基本。けれど、一流が多忙を極めると、まれにルールが破られる。本局がそうだ。

 「張―溝上戦は、2月14日の月曜で『ここせ』です」。昨年末だったか、日本棋院の手合担当者にこう言われた。「ここせ」とは囲碁の遊びの一つで、相手に1回だけ「ここへ打て」と命令できる。

 今回は「ここで打たないとスケジュールが破綻(はたん)します」というわけだ。張は棋聖防衛戦の真っただ中で、2月は2日制対局が3局組まれていた。リーグを木曜に打てないことは、超一流の証明ともいえよう。

 序盤は模様の張り合い。こうなったのは右上の黒9に要因があるのではないか。左上や左下へのカカリなど選択肢の多い場面で、溝上は自陣を引き締めた。すると白10も黒11も自然な流れになる。

 溝上が黒19と天元を占め、張は白20と割って出る。黒21に白22は軽快だ。だが、白24と黒25には首をひねる読者もいることだろう。

 「白24をAに引くのは形が緩んでいる。張さんはそれを嫌いました。黒25は私も不思議に思います。溝上さんは、白Bとツケてもらってから黒A、白C、黒Dと戦う予定だったようです」と解説の加藤充志八段。

 白26、黒27は、ともに気合の手抜き。しかし、28、30とハネノびた中央白の姿が良く見える。

(伊藤衆生)

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