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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第13局  観戦記 >
黒 羽根 直樹  九段   -   白 高尾 紳路  九段

 

懐かしい布石

2011年4月14日

 「悔いの残る一局。夜は眠れなかった」

 本局の2日後、高尾紳路はこの碁をこう振り返った。

 高尾の調子が悪い。前ラウンドで結城聡に半目負けてから、十段戦の挑戦者決定戦で敗れるなど、現在公式戦4連敗中だ。

 対する羽根直樹も、今年に入って3勝4敗と黒星が先行する。

 同い年、同期入段の両者は、懐かしい布石でスタートさせた。

 白6の高ガカリに黒は7、9とツケ引いた。白12と高くヒラき、黒13のツメまでの進行は、棋譜に残る碁の中では、ずいぶん久しぶりに見る。

 白14の星からの小ゲイマジマリ以降は現代風だ。白16のツメに黒17までヒラけるのは、「白18の打ち込みを怖がらなくていいという研究の成果です」と解説の三村智保九段。

 黒23のアテに白25とツグのは、黒Aと三々に入られる。白B、黒24、白C、黒Dとなったときに、白は14の一子が隅に近すぎるために凝り形になる。

 三々を許したくない高尾は、白24と隅を守り、思い切った作戦に出た。黒25のアテに白26の抜きから28とハッてコウにしたのだ。格好のコウダテは白30にある。

 ここで羽根の手が止まった。腕を組み、盤上をじっと見つめる。42分を投じて、羽根は思いも及ばない構想を練った。

   

(内藤由起子)

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