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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第14局  観戦記 >
黒 山下 敬吾  本因坊   -   白 林 漢傑  七段

 

被災地に届け

2011年4月21日

 3月11日のあと、何人もの棋士から「私たちはあまりに無力」とか「こんなときに碁を打っていいのだろうか」と聞いた。嘆きはもっともだが、碁そのものが無力とは思わない。被災地にも多くの愛棋家がいる。こんなときこそ、彼らのために碁を届ける必要があるのではないか。それと同時に一日も早く碁を楽しむ生活に戻れるよう祈りたい。

 3月3日、序盤のリーグを2勝1敗で乗り切った同士の対局。勝った方が2勝無敗の結城聡、3勝1敗の羽根直樹とともに先頭グループを形成することになる重要な一戦だ。

 白6、黒7が最近の傾向である。「みんな右にならえという感じですね」と解説担当の宮沢吾朗九段。かつては星からのシマリとはいわず、構えの用語を使ったが、多用されるとシマリと呼んでいいだろう。

 ここから林漢傑は独特の動きを見せた。まず白8。割り打ちならすわりのいい三線が常識なのに、あえて腰高を選ぶ。続いて白10。黒9とツメられたらあいさつするのが普通なのに黒11を許す。12も白13ならめんどうな問題は起きなかった。

 黒13と天王山を占められ、白14、16とようやく生きをはかる。なお14ではもう一回手を抜いたらどうかとの林海峰名誉天元の提案は最終譜に紹介しよう。

 黒17とハネられた瞬間の白の次の一手は予測不能だ。

   

(春秋子)

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