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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第15局  観戦記 >
黒 趙 治勲  二十五世本因坊   -   白 溝上 知親  八段

 

短手数の局

2011年4月28日

 見出しにガッカリした読者の方に断っておきたい。中身は濃いのでご安心を。序盤から最後の一手まで、それこそ気の抜けない状況が続く好局だった。

 立ち上がりは最新の布石感覚を味わえる。注目は白6だ。黒1、3、5の構えなら数年前までは右辺へ白8と割り打つのが当たり前だった。白6は現在、流行の兆しもある。

 黒7も先端の考え方といえるか。以前の常識は黒8と構え、白7、黒A、白B、黒13、白14、黒15、白Cだ。

 「白と黒の構えはほとんど同じ規模。コミの負担がある黒にとってはおもしろくない。続いて黒Dと天元を占めれば規模では負けないものの、果たして黒Dにどれだけの実益があるか。そういう考えが根底にあって、黒7が試みられるようになったのだと思います」と解説の片岡聡九段。

 また、黒7なら白8は今度こそこの一手。そこで黒9のツメから13、15と上辺に展開する。こんな作戦の組み立て方もあるだろう。

 真新しい戦略を眺めた後は、タイムマシーンで過去に戻ったかのような感覚を。右辺白の姿に懐かしさを感じる読者は、かなりのベテランと想像する。黒11の一子を白8、10、12、16と4手もかけて捕獲。たまには昔に戻ってのんびりするのも悪くない。しかもこの「のんびり」、現代でも通用する。片岡解説者は、「白が好き」だそうだ。

(松浦孝仁)

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