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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第16局  観戦記 >
黒 坂井 秀至  碁聖   -   白 結城 聡  天元

 

天元vs.碁聖

2011年5月6日

 昨年8月、関西棋院に29年ぶりとなる七大タイトルをもたらした坂井秀至と、11月にそれに続いた結城聡。3月10日に打たれた本局は、同棋院を引っ張る両雄が碁聖vs.天元として初めて顔を合わせる注目の一戦だった。

 序盤早々、結城は慎重に着手を選んだ。白4に8分、白6に12分という感じで、まあこれはいつも通り。ところが、白10の打ち込みに黒11とツケられてから一変する。

 白12から外を塗る作戦は実戦例もある。白の着手はほぼ一本道ともいえる。それでも、結城が白12から34までをすべてノータイムで打ったとなれば、驚かざるをえないだろう。

 どんどん進む実戦を検討室のモニターで見ていたら、「山下敬吾―依田紀基戦にもありましたね」と清成真央初段の声。そう、記者にもおぼろげに記憶があった。さっそく昨年8月の名人戦最終予選・山下―依田戦の棋譜を確認すると、よく似た進行になっていた。

 その観戦記では、6の位置に白石がある状況で黒11とツケ、白12以下に黒19、21と戦うのは苦しいという解説がされていた。

 ならば、結城の確信に満ちたような着手の連続も合点がいく。本人もかなり研究をしていたのではないか。

 局後の結城の一言が傑作だった。「白よしって、朝日新聞の観戦記に書いてあった。それを信じました」

(伊藤衆生)

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