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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第19局  観戦記 >
黒 山下 敬吾  本因坊   -   白 張 栩  棋聖

 

疾風の局

2011年5月26日

 山下をみると、映画だったかCMだったか俳優高倉健のこんなセリフを思い出す。「自分、不器用ですから」

 本因坊丈和の再来といわれたように、山下の碁は厚く構えての攻めが主体。細かいテクニックに頼らず、丸太をぶん回すような迫力がある。一発当たればノックアウト。しかし外れることもある。器用に立ち回ろうとすればできるはずなのに。もっとも、そのスタイルを貫きながら第一線で戦い、実績も残している。彼の腕力は我々の想像をはるかに超えているに違いない。

 山下の対極に位置しているのが張だろう。記者のイメージは映画に出てくる東洋のヒットマン。冷酷に、いっさいの感情を排除し、最短で依頼をこなす。これは彼の勝利パターン、「冷静に、答えの出ない局面はある程度割りきり、勝利への最短距離を探す」にも通じる。こんな両者の持ち味が良くも悪くも鮮明に表れたのが本局だ。

 左下白4から8は、いまやアマチュアの間でも流行している。

 「まだまだ研究課題の多い定石です。白12のあと黒A、白13、黒Bもあるでしょう。実戦の黒13なら白も14と逃げ出すことになります」と、解説の石田秀芳二十四世本因坊。

 山下は初手以外、小刻みに時間を使う。張は白2、4に1分ずつ使っただけ。左下の定石について、自分の型を決めているのかもしれない。

(松浦孝仁)

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