現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦観戦記
  5. 記事

< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第20局  観戦記 >
黒 高尾 紳路  九段   -   白 溝上 知親  八段

 

独特な感覚

2011年6月2日

 名人戦リーグの2敗者は、ある意味で崖っぷちに立っている。過去の35期で3敗者が挑戦権を手にしたのはわずかに1回。3敗すればリーグ優勝はほぼ絶望なのだ。前期挑戦者の高尾紳路と前期5位の溝上知親、ともに2敗で迎えた大事な一局だった。

 対局日は、第19局の張栩 - 山下敬吾戦と同じ4月14日。最新定石のできた張 - 山下戦に対し、本局は、溝上の独特な布石感覚が披露された序盤となった。

 まずは黒13までの手順をながめていただきたい。黒5の高いシマリに、白は右辺でも下辺でもなく左辺6へ。これは黒に模様を張られてもこわくないという態度だ。白12、黒13と互いにシマって、さて次に向かうのは?

 段級位認定問題ならば右辺の白Aあたりが満点だ。最も広い場所であり、放置すれば立体的な黒の勢力圏になりかねない。

 溝上は上辺白14へ。「ちょっとねえ」とやや否定的に語る棋士がいたのも当然だろう。だが、黒15に白16とトブと、「上辺が立派な構えになっています。白14、16は独特。溝上さんの意欲的な構想でした」と解説の中小野田智己九段はいう。

 溝上の誘導なのか、局面は模様の張り合いになった。黒17のボウシは好点。黒19から白22と切り結び、黒23に白は24のアテ。高尾は昼休憩を挟んだ34分の考慮で黒25と打った。

(伊藤衆生)

[次の譜へ]

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介