現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦観戦記
  5. 記事

< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第22局  観戦記 >
黒 山下 敬吾  本因坊   -   白 趙 治勲  二十五世本因坊

 

生き残り戦

2011年6月16日

 5月5日。対局開始の10分前、早くも趙治勲は席についた。ひげとボサボサの髪はいつものとおりだが、最近は低調なのかなと気にかかる。名人戦リーグだけをとっても、溝上知親には短手数で完敗し、坂井秀至には勝ったとはいえ終盤のドタバタ劇だけが印象的だった。要するに趙らしくないのだ。

 やや遅れて山下敬吾着席。3勝2敗は不満かもしれないが、1敗組の羽根直樹、結城聡を追う挑戦者候補と見ていい。趙はリーグ残留のため、山下は挑戦へ向け、生き残りをかけた一戦である。

 山下の黒番。中国流に対して二連星から白6と構えるのは流行の布陣。黒7の高い割り打ちが珍しい。解説は高木祥一九段。

 「黒7に白が16あるいはAとツメれば、利かしと考えて、たとえば黒8の大場に転ずる意図でしょう」

 白8なら、黒13のカカリに回る手順だ。以下、黒15の構えから17を利かし、19と山下は足が早い。まずは構想どおりの序盤だろう。一方趙は、かすかな不満があったのか、「白18は手抜きするのだったかな」との感想。手抜きして黒Bとツケられたらどうなるかは最終譜で説明しよう。

 右辺から下辺にかけて、黒の大きな夢が広がった。となると、白は消しに向かわなければならない。その着点を予想していただきたい。趙はわずか2分で決断した。

(春秋子)

[次の譜へ]

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介