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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第30局  観戦記 >
黒 結城 聡  天元   -   白 張 栩  棋聖

 

疑心の局

2011年8月11日

 自分をどれだけ信じられるか。大きな勝負になればなるほどそれは難しい。そしてひとたび自身に対しての疑心が芽生えると冷静な判断力を失うことになる。結城5勝、張3勝でむかえた第8ラウンド。おそらく結城は生涯忘れることのない一局になったはずだ。

 序盤は真新しい考え方が満載。黒1、3、5の構えなら白6はAの割り打ちが常識だった。黒7も9を急ぐのが自然。白8は右辺を無視しているようにも映る。このあたりは、10年くらい前には考えられなかった手法だ。

 黒11はここまでいきたい。左辺や中央に向けて強い発言権を持つ白4、6の唯一の弱点はスソの甘さだ。

 白12はがんばった打ち方。白13とカケて左辺の幅で勝負するのが自然な着想だ。張は不確定な部分が多い模様に勝負をゆだねるのを好まない。

 「白14もかなりのがんばり。ぼくらでもマネをしたらやけどしそうです。黒17で上辺白はかなり窮屈。もちろん、対策は用意してあります」と解説の大矢浩一九段。白18がそれだ。白18、黒19の交換をせずに白20、22のツケノビは、黒B、白24、黒26、白Cのとき黒Dの強襲がある。白18は黒Dの切りに白Eとカカえるためのシチョウアタリだ。

 結城の黒23は当然。前述のシチョウは白よしなので黒Bと力んでもごちそうにはありつけない。

(松浦孝仁)

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