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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 羽根直樹  九段   -   白 溝上知親  八段

 

早くなった

2011年8月18日

 対局開始10分前。節電に対応した室温が気になったのか。溝上知親は窓を開け、「暑さは変わりませんかね」と笑顔を見せた。

 羽根直樹が下座につくと、溝上は背筋を伸ばし、目を閉じた。

 厳しい挑戦権争いの真っただ中にある羽根からも、本局に負ければ即リーグ落ちが決まる溝上からも、ぴりぴりしたムードは感じられない。外からの風がそよぐ中、開始のブザーが鳴った。

 黒番の羽根は黒1、3の小目から5とシマる。白6のカカリに黒7とツケられると、溝上は白8とシマリにツケた。「以前は白10、黒11を決めてからツケたものなのに。最近はタイミングが早くなったね」と、記者室で石田秀芳二十四世本因坊はつぶやいた。

 白が12と軽くトンだのは、先手を取って左辺にまわろうという算段だ。12をAに切るのは、黒B、白19、黒C以下符号順に白Jまでとなり、「ゆっくりした進行になります。確定地を持つ黒を、羽根さんは好んでいるようです」と解説の林海峰名誉天元。

 白18のヒラキに、羽根は33分も考えて黒19とカケツいだ。白Aの切りは全く怖くないが、ほかに急ぐところもない。

 白22のハサミから黒31と定石ができあがり、33まで。「黒は実利があって走っています。黒に不満のない進行です」と林解説者。

(内藤由起子)

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