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< 第36期名人戦挑戦者決定リーグ戦第32局  観戦記 >
黒 林 漢傑  七段   -   白 趙 治勲  二十五世本因坊

 

落とし合い

2011年8月25日

 名人に9度就位した大棋士、趙治勲が苦しんでいる。第33期にリーグ復帰し、最初は5勝3敗の好成績を残したが、続く2年は3勝5敗で辛うじて残留。シード順位に救われてきた。今期はデッドラインともいえる5敗を早々と喫して、もう後がない。

 初参加の林漢傑は4敗。苦しいけれど自力で残留する可能性はある。5敗は趙のほかに坂井秀至と溝上知親。リーグ落ちは3人だから、残る2局を勝ちきるまでだ。なお、林の挙げた2勝は、坂井と溝上からである。

 先番・林の黒3は4分の考慮。ちょっと考えてのケンカ小目だった。黒5、白6と互いにカカったこのケンカは、じっくりした渋い展開へと進む。

 白8のコスミは堅実なコスミ。黒も9、11と手堅い。「私が黒ならA、白10、黒13という構想で行きたい」とは解説の趙善津九段。もちろんこれは好みの問題だ。

 白12のハサミに黒は13のカケ。白14、16と出切る定石は、黒17、白18に続いて黒B、白C、黒Dの進行がよく知られている。林は意欲的な黒19のハネ。黒7に援軍がいることを意識した工夫だった。

 趙は7分で白20と引く。後日、時間付け用紙を確認した解説者は「えっ。先生のことだから、めちゃめちゃ長く考えたかと思っていました」と驚く。趙、最初の後悔の一手だった。

(伊藤衆生)

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