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< 第37期名人戦挑戦者決定リーグ戦第17局  観戦記 >
黒 結城 聡  九段   -   白 河野 臨  九段

 

冒険

2012年5月9日

 「冒険心」を持って碁を打てるのは、我々アマチュアだけの特権になりつつあるのかもしれない。現代の棋士にとって碁盤の上での冒険は、ただの足かせになるケースが珍しくない。本局はそんな流れになる。

 明暗くっきりの両者は結城の地元、大阪の関西棋院で顔を合わせた。黒1、3、5の構えに割り打ちを急がないのはもはや常識か。ワンテンポ遅れての白8は、普通の割り打ちではない。黒11のツメには手を抜く予定。黒に8と構えられるよりはプラスとみている。

 上辺黒13の打ち込みに白14は、こうがんばりたいという。

 「左上は白石の多いところですからね。白16は当然です。白21では黒Aとすんなり頭を出され、白6と14の二子が浮き上がります。黒17もこの一手の反発。正直に黒18とツグのは白21にシマられて困る。黒Aとは脱出できなくなっています。続いて黒17では足が遅く、白Bで上辺黒は重い姿です」と解説の柳時熏九段。

 白26までで一段落。両者がじっくり時間をかけて進んだだけあり、互角の分かれだ。さあ、ここで黒27に注目しよう。

 記者の妄想かもしれないが、結城の「冒険心」の表れと思う。「勝利」に特化している最近の碁界。たまには窮屈さから解放されたいと願っても不思議ではない。そんなカケだった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:2時間9分 白:1時間19分 (持時間各5時間)

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