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< 第37期名人戦挑戦者決定リーグ戦第20局  観戦記 >
黒 張 栩  棋聖   -   白 溝上 知親  八段

 

張のミス

2012年5月24日

 白8のトビに張は黒9、11。気になっていた白Aの味は完全になくなった。ただし、安心はしていられない。白12で今度は左辺上方の一団が孤立した。

 黒Bと逃げるのは感心しない。白C、黒19、白Dで、自然に中央が白っぽくなる。逆に黒の2手は実質をまったく伴っていない。

 張の黒13は11分の考慮。実はこれ、大変な逸機だった。張は局後真っ先に「ハネだったよね」と溝上に問いかけている。

 ハネとは参考図の黒1だ。白2に黒3、5とダメを詰めるのがいい。この形、白が6と備えた後、黒aが隅に対して利きになる。白bと換われば黒cの渡りが生じ、黒7と強気にコスめるのがミソ。中央の白模様化、白地化を拒否できる。黒aに白が黒の連絡を止めてくれば黒bが成立。白d以下符号順に黒gまでのコウになる。このコウは白の負担が一方的に重く、とてもやれないだろう。

 実戦も黒15とがんばったが、図のような保険がないため白16には黒17、19と撤収。白26まで、中央は白の勢力圏となった。

 白38で白好調。誰もがそう思っていたのだが。

(松浦孝仁)

 消費 黒:3時間21分 白:3時間20分 (持時間各5時間)

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