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< 第37期名人戦七番勝負第2局  観戦記 >
黒 山下敬吾  名人   対   白 羽根直樹  挑戦者

 

深く踏み込む

2012年10月25日

 本譜の盤面を読者自身の対局と思って眺めてほしい。黒を持って白20のカカリを迎えた場面。挑発的なものを感じないだろうか。

 検討室はそんな雰囲気だった。挑発に乗り、打ち込みの変化が調べられた。参考図の黒1なら白を左右に分断できる。しかし、立会人の王銘エン(エンは王へんに宛)九段が示した白2、4が、うまいさばき筋のようだ。

 高尾「黒5、7には白8の切りです。白は12まで安定形を手に入れ、黒は13と三子を手中に。この分かれは黒の取り方が小さく、白に不満はありません。なお黒3は仕方ない。黒6は白3、黒aのあと、白bのトビが絶好になります」

 名人は黒21を選択。検討陣の評価は、これも黒へ傾くことはなかった。白Aとツケて黒Bに白Cと切り違えば、白は左右の連携を確保できる形。白Aに黒D、白E、黒Fの進行も、黒成功とはいえない。以上のことから白20の本質が見えてくる。挑発ではなく、ギリギリの踏み込みだ。

 驚きは続く。白はAではなく、22のカケへ。再び深い踏み込みを決断した。

(松浦孝仁)

 消費 黒:1時間2分 白:1時間4分 (持時間各8時間)

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