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< 第37期名人戦七番勝負第2局  観戦記 >
黒 山下敬吾  名人   対   白 羽根直樹  挑戦者

 

三つの玄関

2012年10月25日

 挑戦者はどこに消しのポジションを取るのか。検討室の予想は40の地点。ここなら白は捕まらないし、黒に囲われたとしても十分間に合いそうだという。

 13分消費して白は36へ。予想よりも「2歩」も深く踏み込んでいる。そこまでしなくても、との空気が流れる。この白一子を取らなければ負けの名人は、最後の猛攻を仕掛けてくるに決まっている。2日目の午後、検討室はいちばんの盛り上がりを見せた。

 ところが、すぐに水を差すような意見が。しかも、それに誰もが納得の表情だ。

 王「どこが玄関か分からない。三つあるからなあ。いや、立派な勝手口か(笑い)」

 玄関か勝手口の例えがふさわしいかは別として、「三つ」とは白の逃げ道だ。上辺と右辺、そして下方に、岩のように堅く力強い援軍が控えている。白36の一子はこのうちのどれかに連絡できればいい。棋士の目からすれば、結末は明らかだ。

 名人の着手もそれを裏付ける。黒39と一度は背後から迫ったものの、白40に黒43と取りかけにはいかない。黒73のツケからは形づくりか。白に一子を取らせて79へ。挑戦者の白80から84を見て名人は投了を告げた。きれいな投げ場と思う。

(松浦孝仁)

 消費 黒:7時間58分 白:7時間36分 (持時間各8時間)

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