< 第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦第6局 観戦記 >
結城 聡 九段
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村川 大介 七段
井山裕太と結城聡。村川大介は自身の碁に影響を受けた棋士として、このふたりの名をあげる。名人戦リーグの舞台で、尊敬する先輩と対局することを、村川は楽しみにしていたことだろう。
12月ラウンドが手空きだった結城は、本局がリーグ開幕戦だ。
黒番の結城が5のカカリから7とスベったのを見て、「いつもの結城さんではないな」と解説の清成哲也九段。黒Aのミニ中国流、または黒Bとシマり上辺を広く構えるのが力戦家の結城らしい。さらに黒9でハサまないのも意外だという。「少し慎重になっていますね」と清成解説者。
白16のヒラキに黒17とツメ、すぐに19と打ち込む。白20のツケから黒を右下にワタらせると、今度は白が26と打ち込んだ。「さすが、厳しいものです。白Cと守るのがふつう。これでいい勝負なのですが」と清成解説者。右辺の白が、働くか攻められるか。これが本局のポイントだ。
ここで結城は昼休みを挟んで30分を使い、黒27とコスんだ。
黒Dとツケるのはうまくいかない。白E、黒F、白G、黒H、白Bのあとすぐに黒Iの攻めにまわりたいが、白Jの動き出しがうるさいのだ。かといって右上に1手かけているようでは白Cとくつろがれる。
黒27はやむを得ないのだが、ここから結城は苦労する。
(内藤由起子)
消費 黒:1時間23分 白:24分 (持時間各5時間)
第38期囲碁名人戦七番勝負で2年前の雪辱を果たし、名人位を奪還した井山裕太名人の記念扇子。「碁を楽しむ」という意味で「碁楽」と揮毫(きごう)されています。