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< 第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦第9局  観戦記 >
黒 溝上 知親  八段   -   白 坂井 秀至  八段

 

枯れ芝

2013年3月14日

 「枯れ芝でのアプローチは難しい」

 ゴルフも趣味にしている読者なら、イメージするのは簡単か。小松英樹九段が本局に向けてもらした感想だ。

 右下で最近では珍しい大ナダレ定石が進行中だ。大型定石は新型が現れた時以外、好んで打たれることは少ない。一つの隅を定石で埋めてしまうのは相手に差をつける機会を失うことにつながる。

 アマの初段と三段がハンディなしで対局したとする。初段の勝ち目は薄い。しかし、大型定石によって序盤を互角に乗り越えれば初段が勝つ可能性は少しアップする。実力差が出る機会がおよそ4分の1減るのだから。

 さらに大型定石だけあって全局への影響力は大。その後の打ち方は何かと制限されるわけで、いつもとは違う感性が要求される。自由な発想など許されない。これを「枯れ芝でのアプローチ」とは言い得て妙と思った。

 黒は17と大ナダレの内マガリを選択。黒25までのおなじみの手順のあと白は26へ。

 「狙いは続いて黒A、白B、黒C、白D、黒E、白Fと取り合う分かれ。坂井さんは右辺が広いと見ています」と解説の片岡聡九段。なお、白B、黒Cの交換をせずに白Dは、黒Gで隅の白がタダで取られてしまう。この交換があれば黒Gに白Hとコウに粘る筋がある。

 このあたり、芝生は枯れきっていなかったのだが。

(松浦孝仁)

 消費 黒:21分 白:13分 (持時間各5時間)

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