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< 第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦第12局  観戦記 >
黒 河野 臨  九段   -   白 井山 裕太  本因坊

 

チョコ持参

2013年4月4日

 バレンタインデーの2月14日朝、日本棋院関西総本部。対局室に入ってきた井山が提げる袋から、赤いチョコレートの箱がのぞいていた。新婚の妻からもらったのかと思ったら、コンビニで買ってきたという。

 甘いものが苦手のはずだが、糖分を補給して頭をフル回転させるつもりらしい。激戦を覚悟してのチョコ持参。相手は前期リーグで唯一黒星を喫した河野である。

 先番は河野。開始のブザーが鳴り終わらないうちに早々と第一着を打ち下ろした。黒1、3、5は世界戦でもよく打たれる中国流の変型。河野には「スモール中国流」と題した著書があり、お得意の布陣だろう。

 黒5が通常より一路下にあるため、白は14で理想とされるAの二立三析も選べる。しかし、黒Bから白C、黒D、白14、黒Eとえぐられて困るというのが最近の定説だ。

 黒19が河野の工夫の一手。黒20や黒Fが定形だが、20と21を見合いにしてFの断点は黒Gと好形で守れるのが自慢だ。解説の今村俊也九段は「石が張った打ち方です。2人の対局は毎局のように工夫した手が飛び出し、見ていて面白い」。

 井山は白20とマガって左上隅を黒に譲り、石音高く白22。今村解説者は「左下の模様で勝負するスケールの大きな打ち方です」。早くも碁の骨格が固まった。

(深松真司)

 消費 黒:29分 白:1時間3分 (持時間各5時間)

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