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< 第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦第28局  観戦記 >
黒 羽根直樹  九段   -   白 村川大介  七段

 

ゆっくり

2013年8月1日

 6月20日、日本棋院中部総本部の「祥雲の間」。先に現れた村川は扇子を取り出してから上座に着いた。広げると「克己」の文字がある。研究会仲間でもある井山裕太棋聖揮毫(きごう)のものだ。

 続いて羽根が入室し下座へ。リーグは白番が上座と決められている。羽根は開始のチャイムが鳴り終わるのを待って初手を打った。

 石の接触がほとんどない、ゆったりとした立ち上がりになった。黒9のカカリから11とスベり、13と二間にヒラく。この穏やかな定石が、右下、左下と三隅にできた。落ち着いたものだ。

 「羽根さんは、まず力をためて、あとから動くタイプ。ゆっくりした布石は羽根さんの好みでしょう」と解説の中野寛也九段。

 黒はコミの負担があるので積極的に戦う傾向が顕著。しかし羽根は自らの道を行く。

 以前、羽根がこんなことを話したことがある。「コミが5目半から6目半になった頃、黒番ではより厳しく打たなければと思って色々と試してみました。でも、かえって1目分以上損をしてしまう。自分に合わないと気づきました」。黒番だからといって、羽根の流儀は変わらない。

 白が26と圧迫し、やっと石が五線に来た。黒27のトビは上辺と右辺、両方への打ち込みを狙っている。

 ここで村川は機略に富んだ手を披露する。

(内藤由起子)

 消費 黒:38分 白:25分 (持時間各5時間)

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