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< 第38期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 張 栩  九段   -   白 高尾 紳路  九段

 

決めるか張

2013年8月26日

   関東の梅雨明け近い7月4日、無敗で突っ走る張栩と、2敗で挑戦の望みをわずかに残す高尾紳路がぶつかった。張が勝てば最終ラウンドを待たずに挑戦が決まる。

 この大一番を前に、高尾は「富士山に登ってきた」という。えっ、本因坊戦七番勝負のほかにも重要対局が目白押しなのに。じつは高尾一流のユーモアだった。富士山ではなく、東京・入谷の小野照崎神社にある富士塚に登ったのである。小野照崎神社には師匠・故藤沢秀行名誉棋聖の書「強烈な努力」の石碑がある。棋力向上にうってつけのパワースポットだ。一度参られてはいかがだろう。

 張の黒番。白6の三間バサミには黒7とハサミ返すのが最近の傾向。この周辺を高尾の研究会仲間であり、前期リーグで奮闘した内田修平七段に解説してもらおう。

 「黒9とすぐ走ったのは比較的珍しい。単に黒15とヒラき、白Aを許して先手を取るのが普通でしょう。白10は堂々たるカケ。高尾さんは白11のツケも浮かんだといいます。黒Bなら白Aとコスミツける筋です」

 しかし本局の高尾はあえてテクニックを封じ、流れに身をゆだねたかのよう。一方の張はスピードと実利重視だ。中国流おなじみの定石が右下に実現し、直後の右上黒25も足が速い。右下を継続するなら黒C、D、Eが有力候補だ。

(春秋子)

 消費 黒:13分 白:16分 (持時間各5時間)

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