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 打そむる碁の一目や今日の春 斎藤徳元

 井山裕太に明け、井山で暮れた一年を見送り、新しい年を迎えた。今年も井山の独走が続くのか、あるいは待ったをかける者が現れるのか。皆さんの目はこの一点に絞られるはずだ。

 現在のところ、井山を追う一番手は、もうすぐ始まる棋聖戦七番勝負の挑戦者、前名人の山下敬吾だろう。昨年やや停滞気味だった羽根直樹は二番手集団か。しかしすぐ井山の対抗馬に名乗りを上げてもおかしくない実績の持ち主だ。山下―羽根戦こそ第39期リーグの打ちぞめにぴったりの重量級対決である。

 冒頭句、「打そむる」は打ち初むる。打ちぞめのこと。正月に来客があり、碁好き同士なら、とりあえず一局となる。その第一手をいつくしむように打ったと想像する。新春らしい碁の句と思う。

 斎藤徳元は織田信長や豊臣秀吉につかえた武将。ひょっとすると初代の本因坊算砂と交友があったかもしれない。関ケ原の戦いのあとは浪人となり、江戸に出て俳諧で身を立てた風流人である。

 羽根は黒3に9分。打ちぞめにふさわしい慎重さだった。山下は星から小ゲイマへの白6、早々と三々に入る白10と無造作に現代流を選ぶ。黒19と左辺に大きな夢を描けば、白は20と気持ちのいい利かしに満足する。思い思いの序盤戦は次譜で一変する。

(春秋子)

 消費 黒:20分 白:19分 (持時間各5時間)

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