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 観戦記者が特定の棋士に肩入れするのはどうかと思うが、ここは一ファンとして書かせてもらいたい。待っていた、柳が名人戦リーグに帰ってくるのを!

 彼の碁は「聡明(そうめい)」という言葉がピッタリ。盤上で愚かなことを繰り返す記者には、まったく違ったルールで打っているようにさえ見える。

 ただ、聡明というのは、勝負事ではプラスばかりとは限らない。過ぎたるはなお及ばざるがごとしだ。勝ち負けが早く見通せるためだろう。緩みやあきらめの早さが敗因となるケースが珍しくない。まあ、この勝負への淡泊さも魅力のひとつなのだが。実はそんな彼にちょっとした変化が見られた。それは最終譜で紹介しよう。

 柳が村川のホーム、関西棋院に赴いての対局。白2に7分、白4に11分をかけたのは、11期ぶりの名人戦リーグの座り心地を味わったものと想像する。

 白6、8とナダれる形は珍しくないが、12でAと押していく大ナダレ定石はまったく見なくなった。現時点ではナダれたほう、この碁では白が、よくならないといわれている。白は実戦の12、14で何ら不満はない。

 「白16のハサミはバランスを保ちました。白Bは黒Cに白Dからオサエる定石のあと、黒Eが下辺白模様を消す好点になります」と解説の片岡聡九段。村川の黒17は当然の変わり身だ。

(松浦孝仁)

 消費 黒:2分 白:21分 (持時間各5時間)

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