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 対局室一番乗りの黄翊祖に「久しぶりですね」と声をかけると、ほほえみとともに「はい」と元気な答えが返ってきた。6期ぶりの名人戦リーグ。11期ぶりの柳時熏ほどではないとしても、長い不在だった。

 8年ちょっと前の秋にあった二つの快挙を思い出す。一つは16歳の井山裕太による早碁の阿含・桐山杯優勝だ。もう一つはほぼ同時期の18歳の黄による名人戦リーグ入りだった。「全棋士参加の公式戦で優勝した井山さんはすごい」と黄がいえば、井山は「黄さんのリーグ入りこそすごい」と語ってたたえ合ったものだ。この快挙が節目になったのだろう。若手、とくに10代の躍進が目立つようになり、現在に至っている。

 ただし黄は、名人戦リーグの座を連続3期守ったものの、あとはすっかりごぶさた。井山との距離も大きく広がった。しかしと考える。26歳とまだ若いのだ。いまから井山を追いかけても遅くはあるまい。その再出発の舞台がリーグ初戦。熱い思いが伝わってくるようだった。

 黄の先番。右上で定石が現れたが、いくつかの変化があるのはご存じのとおり。たとえば白10の三々に対して黒14とオサえれば、まったく別の碁になる。

 「黒21は先手を取って27に回るための工夫。黒22とノビて後手に甘んじるのも考えられます」と、解説の三村智保九段。

(春秋子)

 消費 黒:22分 白:17分 (持時間各5時間)

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