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 山下の魅力はなんといっても攻めの強さにある。「大石死せず」という格言があるように、相手の大きな一団を取るのは簡単ではない。しかし、そんな格言など知らないかのように猛攻をかけ、石を殺して勝っている。

 1月に打たれたリーグ第8局、高尾紳路戦がそう。そして、2月に始まった「棋戦優勝者選手権戦」でも、腕力をいかんなく発揮した。昨年のあらゆる棋戦の優勝者が出場するトーナメント。若鯉杯優勝の一力遼四段や新人王の富士田明彦四段ら、生きのいい若手も出場したが、なんのその。2人と対戦し、どちらも石を召し捕って下した。

 「殺し屋」といえば故加藤正夫名誉王座のニックネームだが、2代目を継ぐのは山下しかいないと思わせるほど、最近の剛腕ぶりはすごい。

 3日前に降った雪が街中に残る2月17日、日本棋院東京本院「幽玄の間」。

 山下の黒13のカカリに黄が白14と一間にハサむ。黒15のトビは勢力重視の山下らしい。

 「トビには使用上の注意があります。黒17とカケる前提ですが、白20、黒21、白Aの出切りが成立するときには打てません。本局は黒のシチョウがいいので、黒B、白C、黒Dでやれます」と解説の潘善琪八段。

 左辺黒が厚みとして働くか、攻めの標的になるかが、今後のポイントだ。

(内藤由起子)

 消費 黒:17分 白:33分 (持時間各5時間)

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