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 3月放送のNHK杯で優勝した結城聡。6年間で5度目の栄冠だから、1手30秒の早碁における国内最強といえるかもしれない。この間のNHK杯の総成績は26勝1敗だった。

  一方、ご存じのように持ち時間5時間の名人戦リーグでは不振が続く。第37期から通算2勝17敗。じっくりと時間をかけるスタイルが、結城の精神や技術にかみ合っていないと言わざるをえない。

 それはさておき、1人の棋士によるここまでの落差は、盤上のルールは同じ囲碁でも時間が違えば別もの、という感を強くさせる。余談になるが、2日制対局をはじめとする持ち時間の長い碁を大切にする日本がなぜ、そういう世界戦を開催してこなかったのかと思うこともある。

 3月10日、結城のきょうの相手は河野臨。NHK杯決勝の相手でもある。事前収録されるNHK杯は2月に打たれたので、河野には勝ったばかり。気をよくしている結城が今期初勝利をあげる好機と思っていたのだが。

 白番・河野の二連星に結城は黒1、5、7のミニ中国流を敷く。序盤、目を引いたのは白22以下だ。力をためた黒23は27分の熟考。黒Aは白Bのツケが嫌だったという。白24の発想が独特で、検討陣の話題になっていた。白Cだと黒25がぴったり。白Dは黒Eの攻めがある。相手に急所を与えない、ひねった一手だった。

(伊藤衆生)

 消費 黒:1時間18分 白:1時間2分 (持時間各5時間)

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