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 < 皆散りて黒の地もなき桜哉 >

 4月3日、名古屋は晴れ。対局開始まで時間があったので名古屋城に寄り道し、満開の桜を楽しんだ。やがていっせいに散り始め、足の踏み場もなくなるはず。冒頭の句はそんな光景を詠んだ江戸中期の俳人、知尋の作。黒い地面を碁のことばに掛けて、黒の地と表現した機知の句だ。黒の地がなければ、白の勝ちだが、さて本局はどうなるだろうか。

 羽根の2勝2敗は挑戦を狙うならぎりぎりの星である。一方白星なしの村川は、持ち味の思い切りの良さが影をひそめているのが気になる。前期は初のリーグで打ち分けの成績を残した。棋聖戦では挑戦者決定戦に進んで大器の開花を思わせたものの、今期がこのままではサクラチルになりかねない。ともに是が非でも勝ちたい一戦だった。

 序盤は快速。黒25までは30年以上前にしばしば試みられた布陣である。左下白8とツケた瞬間に黒9、11を決めるのがポイント。黒9で13にハネ出し、25までの定石ができた例もあるが、黒の幅を制限して白9にコスむのが好点とされ、実戦からほとんど姿を消してしまった。

 白26ではAにナラぶのも次に白Bの打ち込みを見て落ちついた好点。しかし村川は、すぐ明らかになる黒の大模様作戦をまったく意に介さないようだった。

(春秋子)

 消費 黒:8分 白:14分 (持時間各5時間)

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