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 四天王たちは誰しもがライバルだ。記者はその中でも、対戦成績の拮抗(きっこう)具合などから張栩と高尾紳路が一番の好敵手だと感じている。

 これは高尾挑戦者が張名人を破った2006年の第31期、張が雪辱した第32期名人戦を目の当たりにしたことが大きく影響する。当時の両者には互いを意識するようなピリピリとした雰囲気があり、その緊張下で一進一退の名勝負が繰り広げられた。本因坊戦(高尾勝ち)、棋聖戦(張勝ち)でも1度ずつ激闘を演じた。

 ちなみに七番勝負の対決4回というのは山下敬吾―羽根直樹の5回に及ばないが、こちらは山下の4勝1敗と勝敗が偏っている。

 両者の対戦成績は張34勝、高尾30勝で無勝負が1局。まだたった六十数局しかない、と書かせていただく。もっともっと対決を繰り返してほしい。そんな元名人ふたりである。

 4月24日、日本棋院東京本院。高尾はこの3日前、結城聡から十段を奪取した。09年、当時の張名人に十段を奪われて以来、5年ぶりとなる無冠返上だった。十段に復位して初の対局。張は、再出発で戦うにふさわしい相手だったと思う。

 右上、白の両ガカリに対して張は黒9のケイマ。そして白10、12の切り違いに一つの岐路を迎える。黒がめざすのは簡明型か難解型か。張は迷わず後者を選ぶ。

(伊藤衆生)

 消費 黒:7分 白:3分 (持時間各5時間)

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