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 柳時熏は42歳。本局の解説者、坂井秀至八段(41)とは年が近い。坂井は語る。

 「柳さんは20代半ばで天元を3連覇したり王座を獲得したりで、天馬空(くう)を行く感があった。同世代ですごい棋士が現れたんだなと思った」

 坂井が医学生だったころである。しかし坂井がプロになり、柳が30代に入ると、両者の立場は一変する。名人戦に限れば、柳はリーグから遠ざかり、坂井がリーグの常連になった。問題は40代だ。柳にとって11期ぶりのリーグ。ここまでは骨太な打ちっぷりで、20代の輝きを取り戻しつつあると思う。輝きをより確かにするには、前を行く山下敬吾をつかまえねばならない。

 挑戦者争いの行方を占う大一番。黒番の柳は得意の中国流、山下は白6のカカリから早々と三々に入る流行型で応じた。人まねを嫌い、流行を追うことに無関心な山下にしては珍しい立ち上がりだ。三々入りの優秀さを自分なりに確認したのかもしれない。

 坂井「白22までがスタンダードな定石です。この型が打たれ始めたころは、続いて黒Aとツグ実戦が多かったのですが、最近は手を抜いて白Aからの出切りを迎え撃つ例もふえました」

 おなじみになった柳の序盤からの長考。黒23に要したのは53分だった。黒AだけでなくBやCも候補だったに違いない。

(春秋子)

 消費 黒:1時間4分 白:21分 (持時間各5時間)

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