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 5月8日、3勝1敗の張は5戦全勝の山下敬吾を追っていた。1敗は張のみ。いうまでもなく大事な一局だ。いつもより硬い表情に見えたのは当然か。

 対するは白星なしの結城。4月下旬には十段位を失い、はたから見ればいいとこなし。しかし彼のモチベーションは思わぬところで保たれていた? 対局の数日後、こんな話を本人から聞いた。

 「5月23日のオリックス―広島の交流戦で始球式を務めます」。結城はオリックスの熱烈なファンでT―岡田選手が大のお気に入り。声がかなり弾んでいた。いい精神状態というのか、リーグ残留があやういなんてまったく感じさせなかった。

 序盤から解説の小林覚九段は忙しい。

 「黒9に白が手を抜いたのは、右上が黒7の構えだからです。黒Aとツメられても、白Bの三々入りで簡単に荒らせます」

 左上では早くも接触戦。黒の両ガカリに白が14とコスミツけたタイミングで張は左下へ向かう。

 小林「黒15のツケは決断の一着。白18までを交換し、黒Cやその後のコウ材を確保するのが狙いです」

 黒19から23に続いて白25、黒24、白Dが定石。しかしこの進行こそが張の注文。黒Eに切ってコウを仕掛けるつもりだ。これは白が持たないだろう。

 結城は白24、26で応戦。前例のない碁形になった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:37分 白:1時間24分 (持時間各5時間)

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