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 関東に梅雨入りが発表された6月5日。東京・市ケ谷の日本棋院のささやかな植え込みのアジサイは青くいきいきと色づき、すぐ近くに巣のあるツバメは雨空を舞う。

 この季節がくると、名人戦リーグも終盤になったんだなと思う。終盤の興味といえば、挑戦やリーグ残留へ向けての星勘定である。微妙なのが挑戦をめざす張栩と、リーグ落ちをまぬがれたい黄翊祖だ。張の2敗はギリギリの星だろう。本局を含めて残り3局をすべて勝ったうえで、トップを独走する山下敬吾に2敗以上してもらわなければならない。

 黄も深刻。井山裕太七段(当時)が初リーグで名人挑戦を決めた第33期は、4勝4敗で陥落というつらい経験を持つ。もう1敗もしたくないという点では張と同じ。とにかくこの一局に勝たなくては始まらないのだ。

 張の黒番。黒9が打たれ始めた十数年前は「腰が抜けたよう」とか「あごが外れたよう」と評されたものである。しかし現在は立派に市民権を得て、大流行手となった。張も愛用するひとり。いろいろな変化のある中で、黒15までが比較的簡明な定石の一つだ。

 左下に移り、解説の工藤紀夫九段はいう。

 「白22を手抜きして大場に行くのも有力。白22ならスソアキをとがめて黒23とやりたくなります。白24は手筋であり、気合でもあります」

(春秋子)

 消費 黒:25分 白:28分 (持時間各5時間)

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