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 7月31日、大げさにいうなら、全碁界の目は日本棋院東京本院5階の個室対局室「幽玄の間」と「清風の間」に注がれた。幽玄は山下敬吾―村川大介戦(次回掲載)で、山下が勝てばすんなり挑戦者に決まる。清風が本局で、山下が敗れた場合、勝者が山下とのプレーオフに進む。

 両室の距離はおよそ15メートルだが、これほど近く感じられたことはない。幽玄の熱気が伝わってくるようだった。

 張栩も河野臨も昨年は悔しい思いをした。張はリーグ終盤の2局で一つでも勝てば挑戦権獲得だったのに、連敗して順位の差でプレーオフにも進めなかった。プレーオフに進んだ河野も、井山裕太に敗れて名人初挑戦はならず。その悔しさを晴らせるだろうか。

 黒7のハサミから9は5の大ゲイマジマリとともに、最近の張が得意とする型である。白14までは第25局の対黄翊祖戦とほとんど同じだが、黒15から変わった。黄戦ではAのヒラキだった。解説は三村智保九段。

 「張さんは急速にそして大胆に勢力指向へと棋風を変えている。黒15から19にもそれがうかがえます。最も顕著なのが黒21の上(うえ)大ゲイマガカリでしょう」

 黒21は第29局の対山下戦で初めて披露して話題になった奇手である。これがブームになるか、一過性で終わるのか、まだ分からない。

(春秋子)

 消費 黒:26分 白:17分 (持時間各5時間)

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