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 東京で始まった名人戦は、鳥取県を経て北の大地にやってきた。

 1勝1敗で迎えた第3局の舞台は札幌市にある「翠山亭倶楽部定山渓」。定山渓は札幌の奥座敷と呼ばれ、道内有数の温泉郷として知られる。定山渓を初めて訪れた両対局者は「素晴らしい」と口をそろえた。温泉好きの名人は宿に到着すると早速、湯を楽しんだ。

 北海道での挑戦手合は多く打たれており、挑戦者は天元戦五番勝負で過去5回対局している。名人は今年すでに棋聖戦、本因坊戦に続いて3回目で、トータルで10回目。以前、プライベートで夫婦で旅行したこともあるそうで、前夜祭では「北海道はホームグラウンドだと思っています」と話し、ファンを喜ばせていた。

 秋晴れの9月25日。立会人の武宮正樹九段が開始を告げると、挑戦者はひと呼吸おいてから第一着を右上隅の小目にそっとおいた。白2を打った名人は、上着を脱ぎ、扇子を握りしめて臨戦態勢を整えた。

 黒が向かい小目から5とシマった構えのとき、白6と小ゲイマにカカるのは珍しいという。「一間や大ゲイマガカリがよく打たれます。小ゲイマだと黒7などのハサミがぴったりですから。でも井山さんは小ゲイマガカリが好きなんでしょうね。よく打っている印象があります」と解説の高尾紳路十段。

(内藤由起子)

 消費 黒:19分 白:8分 (持時間各8時間)

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