写真井山裕太名人(小玉重隆撮影)

写真河野臨九段(小玉重隆撮影)

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表名人戦七番勝負の歴史(クリックすると拡大します)

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井山裕太名人(25)=六冠=に河野臨九段(33)が挑戦する第39期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)が9月4日、開幕する。昨年の名人奪還で「大三冠」(名人、棋聖、本因坊の独占)となり、第一人者の地位を不動のものにした井山名人は2期連続4度目の名人位がかかる。今年絶好調の河野九段は名人初挑戦。充実の両者による激闘が始まる。

■激しくぶつかり合う展開かな  ―― 名人・井山裕太(25)

 河野さんはいま最強の挑戦者です。今年の充実ぶりは本当にすごい。きっと大変な勝負になるでしょう。一方で、2日制七番勝負が初めての河野さんとどんな戦いになるのか、楽しみでもあります。

 河野さんはだいぶ先輩で、研究量の多さや碁に対する真摯(しんし)な姿勢などを尊敬しています。特に終盤などでの読みの正確さは世界でもトップレベルにある。今年は4月ごろから普段以上にエンジンがかかり、連勝も重ねてきました。

 初めて自分が2日制を経験したとき、すべてが違うという感覚があった。今回の河野さんはどうか。相手に対して変な言い方ですが興味があります。これまでの対戦は激しくぶつかり合う展開が多い。やっぱりそういう戦いになる気がします。

 自分は例年より対局数が非常に少ないけれど、そのぶん勉強量が増えているので必ずしもマイナスとはいえない。年間を通じてタイトル戦に出させていただき、いまは非常に充実しています。タイトル戦はここまで、いい結果を残せていますし、踏ん張れている。

 挑戦者だった昨年と気持ちは少し違いますが、タイトルを守りに行くという意識はありません。ただ、大三冠はできれば長く続けたいですね。経験という意味では自分の方がありますから、そのへんを踏まえながら、いい戦いができればと思っています。納得のできる七番勝負にしたい。

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 いやま・ゆうた 大阪府東大阪市出身。石井邦生九段門下。2002年、12歳で入段、09年九段。05年、16歳4カ月で公式戦最年少優勝。09年、七大タイトル戦最年少の20歳4カ月で名人となる。10年、名人防衛。11年に十段、天元を奪取、12年に本因坊、碁聖、王座を加え、昨年3月の棋聖奪取で史上初の六冠(名人以外)に。七冠制覇(グランドスラム)も達成(4月に十段失冠)した。同年6月、世界戦初優勝。10月、名人奪還で大三冠達成、六冠にも復帰した。日本棋院関西総本部所属。

■「考えた甲斐ある手」打ちたい  ――  挑戦者・河野臨(33)

 七番勝負は初めて。誰しもがそうだと思いますが、棋士になったときからの大きな目標でした。ようやく打てる。それが一番の喜びです。

 井山さんは若くしてトップ棋士になり、あっという間に頂上にのぼった。ずっと高い水準を維持していて、すべての棋士が目標にするのにふさわしい存在です。自分は一昨年、昨年と井山さんにタイトル戦で敗れていますし、昨年は名人挑戦をかけた一戦でも負けました。大一番で勝った記憶がないくらいです。

 持ち時間8時間の対局は経験がないので、どんな感じなのかやってみないと分かりません。普段なら0・1秒で捨てるような手まで深く読む時間がある。危険をはらんだ局面でどこまで踏み込んで考えるかは難しいですが、それをやってみたい。けっこう楽しみにしています。

 名人戦はずっと挑戦者決定リーグ戦にも入ることができず、それが一番つらかった。リーグ3期目でつかんだ挑戦権。やっとめぐって来たという特別な舞台ですが、いまは「これからが大変」という気持ちです。

 井山さんと戦わなければタイトルは取れないような時代。泣き言はいわず、自分なりに一生懸命やっていくしかない。もちろん勝てれば幸せですが、盤上にどれだけ自分のいいところ、新しいところが出せるかだと思っています。ぜいたくな時間の中で、考えた甲斐(かい)のある手を打ちたい。それができれば、よかったと思える気がします。

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 こうの・りん 東京都西東京市出身。小林光一名誉名人門下。1996年、15歳で入段。06年九段。2004年に初タイトル。05年、天元を奪取。07年、天元3連覇。これまでに竜星戦など4回の早碁棋戦優勝がある。名人戦では11年、5度目となる最終予選決勝で初めて勝利を挙げ、第37期から3期連続のリーグ出場。3位、2位と順位を上げ、今期、プレーオフで山下敬吾九段を破って名人初挑戦を決めた。夏の碁聖戦に続く、今年2度目のタイトル挑戦になる。日本棋院東京本院所属。

第1局 9月4、5日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第2局 9月18、19日 鳥取県湯梨浜町「はわい温泉 望湖楼」
第3局 9月25、26日 札幌市南区「翠山亭倶楽部定山渓」
第4局 10月6、7日 京都市東山区「ウェスティン都ホテル京都」
第5局 10月15、16日 静岡県熱海市「あたみ石亭」
第6局 10月29日、30日 長野県諏訪市「上諏訪温泉 油屋旅館」
第7局 11月5、6日 甲府市「常磐ホテル」

◆対局は持ち時間各8時間の2日制。シリーズ勝ち越し(無勝負が絡まなければ4勝)を決めた方が今期の名人となる。以降の対局は行わない。