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 リーグ初参加の金沢のことを、ずっと以前から注目していた。私事で恐縮だが、記者と同じ神奈川県平塚市出身だからだ。11年前、小学6年で小学生名人になったのを知り、こんなに強い子が郷里にいることがうれしかった。平塚は故木谷実九段が全国から弟子を集めて育成した「木谷道場」のあった地。同市は「囲碁のまちひらつか」として囲碁普及に力を入れている。

 平塚の木谷道場からは大竹英雄名誉碁聖や石田秀芳二十四世本因坊ら多くの棋士が輩出したが、実際に平塚出身となると木谷の娘、故小林禮子七段だけだった。金沢は囲碁のまちから誕生した待望の棋士なのだ。

 1月15日、日本棋院「行雲の間」。開始から進行の速さに目を奪われた。

 「黒白ともに二連星というのは1990年代の流行。最近では珍しい」と解説の林漢傑七段。蘇は「入段(94年)した頃は、よくこの布石を研究したけれど、すっかり忘れました」という。左下、右下、左上で定石がすらすらとできあがった。

 右上白30、32のあとの34のツメは工夫の一手。ただし林解説者は「僕なら白Aに向かいます。左下の基本定石のあとは下辺の価値が大きいのです」。黒35がなければ、黒Bとハサまれても白Cで攻められることはない。

 まだ30分も経っていないのに、35手も進んだ。

(内藤由起子)

 消費 黒:13分 白:15分 (持時間各5時間)

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