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 1月15日の対局。12月が手空きだった張にとっては今期のリーグ初戦だ。誰でもはじめの一歩は意識する。なんとしてでも、いいスタートを切りたいと願うものだ。相手は同じ台湾出身の黄。少し前なら内心ほくそ笑んでいたかもしれない。

 初対決は2005年1月。当時名人だった張が三段の黄をはね返すと、そこから10個白星を連ねた。黄が初勝利をあげたのはなんと昨年10月。約10年間、張は黄の前に立ちはだかっていた。

 勝負の世界で、偏った流れを変えるのは容易ではないだろう。10連敗後に1勝したからといっても、周囲の見方はほとんど変わらない。張を黄の天敵と判断する。ただし転機になる可能性もあるはずだ。初白星が大きなうねりになっていくのか。12戦目の本局がまさに試金石だ。

 張の初手に注目が集まった。「ブラックホール」と名づけた黒Aからの奇抜な構想をみせるのかと。ありきたりの黒1にはがっかりしたが、すぐに意欲的な趣向を披露した。

 「黒5から7のトビは私もやってみたかった手」と解説の二十四世本因坊(石田)秀芳。大ゲイマガカリからのこの形は非常に珍しいという。

 黒は17を決めてから19へ。なんということはない進行だが、張には早くも不安材料があった。「左辺の黒が薄くなるとまずい」と。

(松浦孝仁)

 消費 黒:21分 白:21分 (持時間各5時間)

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