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 2月9日、名古屋の日本棋院中部総本部。「祥雲」の掛け軸を背に開始を待つのは関西棋院の村川大介王座だ。昨年12月、六冠を保持していた井山裕太を破って、初めてビッグタイトルを手にした。

 面長の色白。自然体で正座したその居ずまいから、威厳や風格は感じられない。まだまだ未知数の24歳だ。記者は、井山が20歳の史上最年少で名人になった頃にささやかれていたことを思い出した。井山には同世代に真のライバルがいない、というものだ。少年時代から井山とともに腕を磨いてきた1歳下の村川が、ついに実力面でも井山に対抗するまでになった。

 あれっと首をかしげる読者のためにリーグ規定の話を。ここは羽根直樹九段の本拠地。通常、七大タイトル保持者の村川は自身の所属地で対局できるが、名人戦リーグだけは例外なのだ。リーグ内の並び順(シード順)が絶対基準。本局はリーグ5位・羽根と6位・村川の対決である。ちなみに上座か下座かは白番か黒番かで決まるため、村川が敵地で上座という、一見、奇妙なことになる。

 先番は羽根。黒3の星に早くも9分を投じた。黒7にかけた17分で、15、17までの意欲的な布陣を思い描いたのではないか。「羽根さんは15ではなく、黒Aという堅実なタイプなんだけどな」と解説の小県真樹九段がいう。

(伊藤衆生)

 消費 黒:43分 白:21分 (持時間各5時間)

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