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 山下はタフな棋士だと思う。

 年初から棋聖戦七番勝負で井山裕太棋聖に挑戦。フルセットにおよぶ激闘の末敗れ、棋聖位に返り咲くことはできなかったが、番碁を戦っていたおよそ2カ月半、井山以外には負けることなく、好調を維持してきた。

 疲れがどっと出たり落ち込んだりしてもおかしくない棋聖戦後も勝ちまくる。4月に入ってすぐ、本因坊戦の挑戦権を手に入れた。

 大勝負に負けた気持ちをどう切り替えているのだろうか。山下は「若い頃はお酒を飲んで忘れようとしたこともありましたが、最近は寝てしまえばさっぱりします。負ける経験も重ねてきていますから」という。

 本局は山下の充実ぶりがよくあらわれる。

 まず注目して欲しいのが、右上白6のカカリから黒19までの定石だ。山下は黒番のときに好んで打つという。厚い石の姿が棋風に合っているのだろう。

 ただし解説の内田修平七段は「この定石を選ぶ棋士は最近では珍しいですね。アキ三角の愚形を嫌うので、部分的には白を持ちたいという棋士が多数派です」という。11や13で黒16とオサえる変化になることが多い。

 黒は21、23と下辺を占め、25と模様に芯を入れる。

 4月16日、日本棋院本院「幽玄の間」の対局は、中央を意識する碁になってきた。

(内藤由起子)

 消費 黒:18分 白:25分 (持時間各5時間)

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