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 10年ほど前のこと、東京の若手棋士の間でフットサルが大流行していた。東京で仕事を終えた羽根をたまたま見つけ、蘇が「これからみんなでフットサルに行くので一緒にやりませんか」と誘った。羽根が快諾し、参加が決まったという。

 羽根はスポーツ万能で、ゴルフでも野球でも何をやってもある程度ならできる、と本人が話していたことがある。フットサルの腕前ならぬ足さばきはどうだったのか。「革靴にスーツのズボンといういで立ち。でも、うまくてびっくりしました。印象的だったのは基本に忠実な動き。碁と一緒だと思いました」と蘇は語る。

 羽根は本手本筋を好む躍らない碁風の持ち主。一方で全く違う側面がある。本局ではその特徴がすぐ表れる。

 5月14日、羽根の所属する名古屋市の日本棋院中部総本部「祥雲の間」。蘇は第一着をそっと右上星へ。話題のブラックホール布石は、気分が乗らないと最近はやらないのだそうだ。

 白8のカカリに黒9の二間バサミから27のヒラキまでは、実戦例のある進行だ。

 一段落と思ったら、羽根はすぐ白28と肩をついた。ヤキモチではないのか。上辺に打ちたければ、26ではなく白27に向かうこともできたのに。解説の彦坂直人九段は「ここまで深い踏み込みは見たことがありません」。

(内藤由起子)

 消費 黒:13分 白:37分 (持時間各5時間)

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