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 山下が忙しい。強者の宿命と言ってしまえばそれまでだが、3~5月はなんと月7局のペース。手合は原則木曜日につく。週1局の棋士だってほとんどいないから、山下は2人分の仕事を抱えているようなものだ。

 5月29日、本因坊戦七番勝負第2局(25、26日)の沖縄対局から帰京し、わずかな休息日を経て迎えた。記者には記憶のない名人戦リーグ金曜対局。翌週の水曜からは北海道での本因坊戦第3局が組まれている。2日制の七番勝負は3泊4日の行程。山下はまさに休む間もない。

 羽根の左辺白6がおもしろい。ハサミのようでハサミじゃない。でも、攻撃的な側面も有しているという。

 「のちに白から10、黒A、白8と仕掛けた際、黒Bのヒラキが狭いとの主張です。白6がいっぱいのツメになって、黒の根拠を脅かしています」と解説の小林覚九段。

 黒7から11の模様含みの展開は山下らしい選択。白を誘い込んで攻め立てるのが得意のパターンだ。白は12のカカリ一本から右上14へ。黒15のカケを食らっても平然としているのは、羽根ならではと言っていい。

 「羽根のさばきは天下一品」との声をよく耳にする。右上が一段落して白は28からいよいよさばきに向かう。白30は昼食休憩を挟む54分の大長考だった。羽根はどんな技を用意したのか。

(松浦孝仁)

 消費 黒:20分 白:1時間29分 (持時間各5時間)

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