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 棋士に定年はない。94歳杉内雅男九段、88歳杉内寿子八段のご夫妻は、いまなお立派な成績をあげておられるので例外中の例外としても、いつ現役を退くかは自己の判断にゆだねられる。

 今回解説を担当する石田章九段の「いつ」は昨年、64歳のときだった。しかし引退の理由が分からなかった。足の手術が成功して、かつてないほど体調はいいと語っていたではないか。石田はいう。

 「体調がいいのは事実です。頭を除いて。シチョウをうっかりするような恥ずかしい碁を打って、ギャラをもらうことに耐えられなくなったのです」

 さて高尾紳路―蘇耀国戦。高尾は挑戦を、蘇はリーグ残留をめざしての戦いである。高尾の黒番。蘇が黒なら話題のブラックホールの陣が見られたかもしれない。蘇の勇気ある試みは棋士仲間の評価は低いけれど、布石の多様性を追求する貴重な実験と思う。

 高尾は黒3、5、7の流行の構えから9の二間高バサミ。あっという間に白20までができあがり、黒21の切りもノータイムだった。石田解説者はこの型に思い出がある。

 「40年近く前、研究会などで白20とサガった瞬間に黒21と切る手が指摘されていましたが、実戦に現れたのは私と梶原武雄先生の対局が初めてかもしれません」

 黒35のシチョウアタリが狙いだ。

(春秋子)

 消費 黒:8分 白:9分 (持時間各5時間)

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