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 「懐かしいなあ」「みんな元気そうだ」

 そんな声があちこちから聞こえてきた。

 開幕を翌日に控えた9月2日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開かれた前夜祭はにぎやかだった。

 ファンの視線の先には歴代名人がずらり。第1期の大竹英雄、第2期の林海峰、第5期から5連覇した趙治勲、第13期から7連覇の小林光一、そして宇宙流の第20期武宮正樹だ。第1期挑戦者の石田芳夫(旧名人戦での元名人)も加わり、まさに20世紀のスターが勢ぞろいした。

 ぜいたくな前夜祭になったのは40期の記念だったから。節目の大勝負に臨むのは26歳の井山裕太名人と38歳の挑戦者・高尾紳路天元だ。第1期名人の決まった1976年は高尾の生まれた年。井山はこの世に影も形もなかった。歴史の重みが伝わってくる。

 3日午前9時、武宮立会人が対局開始を告げ、七番勝負が幕を開けた。

 気候のためか、室内が少し蒸し暑い。すっかり秋めいていたが、日差しに勢いが戻っていた。四つの隅をそれぞれ占め合うまでに、両者は上着を脱いだ。

 さっそく盤上に流行の布石が出現した。右上は昔からある定石だが、現在、世界中で注目されている。

 「黒が厚いという意見もありますが、私はいい勝負と思います」と解説の蘇耀国九段。

(松浦孝仁)

 消費 黒:4分 白:12分 (持時間各8時間)

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