写真井山裕太名人(天田充佳撮影)

写真高尾紳路天元(天田充佳撮影)

表戦績比較(クリックすると拡大します)

表名人戦七番勝負の歴史(クリックすると拡大します)

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 囲碁界最高峰のタイトル戦の一つ、第40期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)が9月3日、開幕する。対決するのは、3連覇、通算5期目の頂点をめざす井山裕太名人(26)=四冠=と、5年ぶりの挑戦となる第31期名人の高尾紳路天元(38)。第一人者に円熟味を増した元名人が挑むシリーズは、好勝負が期待されている。

■「進化」感じる碁打つ 名人・井山裕太(26)

 高尾さんと公式戦で打つのは去年の天元戦以来。ずっと山下さん(敬吾九段)とのタイトル戦が続いていましたので、久しぶりな感じ。新鮮な気持ちで臨めると思っています。

 本調子とまではいえないまでも、高尾さんはやはり存在感を示してきました。盤上の間合いの取り方に長(た)けた棋士。戦いは、こちらから先に仕掛けていって、高尾さんが受けて立つ展開になるでしょうか。

 以前から高尾さんには2日制七番勝負に強いという印象があった。最近は後半に時間を残すよう早打ちを意識していると感じます。自分は今年の目標に「決断よく」を掲げましたが、高尾さんはすでに実践されている。悩む局面で、ある程度割り切って打つのは本当に勇気がいるものです。

 自分は6月ごろから対局数が増え、少しずつエンジンがかかってきた。充実しています。こんど名人を防衛できれば、2年前に達成した「大三冠」(名人、棋聖、本因坊の独占)が丸2周することになる。この点については、よく踏ん張れていると思う。今回、簡単に防衛できるとは思っていない。シリーズ終盤まで、戦い抜くつもりです。

 19歳で挑戦し、20歳で獲得した名人は特別なタイトル。7度目の名人戦七番勝負に出られることをうれしく感じながらも、同じことをやっていてはいけない、進化しなければいけないと思う。新しい井山裕太というものを少しでも感じていただける碁を打ちたい。

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 いやま・ゆうた 大阪府東大阪市出身。石井邦生九段門下。2002年、12歳で入段、09年九段。05年、16歳4カ月で公式戦最年少優勝。09年、七大タイトル戦史上最年少の20歳4カ月で名人となる。13年3月、史上初の六冠(棋聖、本因坊、天元、王座、碁聖、十段)となり、通算七冠制覇(グランドスラム)も記録した。同年6月、世界戦初優勝。同年10月、名人奪還で「大三冠」(名人、棋聖、本因坊独占)に。今年3月に棋聖3連覇、6月本因坊4連覇、8月碁聖4連覇。現在、名人、棋聖、本因坊、碁聖の四冠。日本棋院関西総本部所属。

■幸運生かして頑張る 挑戦者・高尾紳路(38)

 若手が急速に伸びている時代にあって、もう2日制七番勝負に出るのは無理かと感じていた。思いがけず挑戦者になって幸せ。同時に、井山さんにストレート負けした5年前の責任を感じているので、プレッシャーもあります。

 井山さんは日本の囲碁界では頭一つ抜けた存在。序盤から終盤までまったく隙がない。同じ碁盤で打っているのに、井山さんの碁を並べていると「碁盤の使い方が広い」と感じます。おそらく常識外の手を打ってくることが多くなるので、それにうまく対応したい。

 井山さんとのタイトル戦は過去3回。だんだん成績が上がっているのはたまたまでしょう。去年だけ見れば井山さんに5勝2敗ですか。いまの成績がよければもうちょっと強気なことを言えたんでしょうけれど、最近はミスで負けが続いている。くだらないミスをしないよう気をつけたい。

 それにしても名人戦リーグだけは運がよかった。半目勝ちが2度もありましたし、最終戦でも自力優勝の可能性はなかったのですから。そういう幸運をいかして頑張りたい。

 38歳で天元のタイトルを持っているのが不思議。いつまで第一線でやれるのか不安もある。ただ、師匠の藤沢秀行名誉棋聖が66歳でタイトルを奪取(1991年)されているので、それを思うと自分はまだまだ若いと思うしかありません。

 せっかくのチャンス。胸を借りる立場ですから、のびのびと戦いたいですね。

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 たかお・しんじ 千葉市出身。アマの故田岡敬一氏に師事、故藤沢秀行名誉棋聖門下。1991年、14歳で入段、2005年九段。96年、新人王戦優勝。05年、本因坊獲得。06年、30歳で名人となる。07年、本因坊3連覇を達成。08年には十段を獲得した。昨年4月、6期ぶりに十段に復位。同年12月、井山裕太天元(当時)から天元を奪取した。今期の名人戦リーグは10期連続10回目の出場(名人在位の1期を含む)。プレーオフで山下敬吾九段を破って、5年ぶりの名人挑戦権を獲得した。現在、天元の一冠。日本棋院東京本院所属。

■対局日程

第1局 9月3、4日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第2局 9月17、18日 佐賀市「古湯(ふるゆ)温泉ONCRI/おんくり」
第3局 9月24、25日 甲府市「常磐ホテル」
第4局 10月5、6日 三重県志摩市「賢島宝生苑(ほうじょうえん)」
第5局 10月13、14日 兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」
第6局 10月28、29日 静岡県熱海市「あたみ石亭」
第7局 11月4、5日 静岡県河津町「今井荘」

◆対局は持ち時間各8時間の2日制。一方の勝ち越しが確定(無勝負がなければ4勝)した時点でシリーズは決着し、今期の名人が決まる。以降の対局は行わない。