写真石田秀芳・二十四世本因坊

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 棋聖、本因坊、碁聖を防衛した四冠の井山名人が今年最後の防衛戦に挑む。昨年は六冠で名人防衛戦を迎えた。6が4に減ったからよくないイメージがあるけれど、まったく違って調子はいい。昨年失った王座と天元はともに挑戦者決定戦に進んでいる。新たな出発として、再び七冠独占を目標にしているだろう。

 高尾挑戦者は昨年、十段と天元の二冠を獲得。もっと各棋戦をにぎわせていいのだけれど、今年は意外と目立たない。ちょっと負け越していて、いわゆる一進一退。名人戦リーグだけは活躍が際立った。挑戦者決定プレーオフも難しい内容の碁だったが、山下敬吾九段を破り、久しぶりに名人戦七番勝負の舞台に登場してきた。

 かつては井山名人が15勝1敗(2011年3月末まで)と対戦成績で圧倒。そこから12勝8敗と巻き返した高尾挑戦者に、もう苦手意識はない。最終局まで戦った2年前の本因坊戦で自信をつけ、昨年は天元戦を制した。今回もシリーズ終盤にもつれるだろう。

 井山名人が仕掛ける展開が予想される。井山名人のスタイルは、以前の「柔」から「剛」へ、さらに過激さを増し、打ちすぎのような手まで選ぶようになった。対する高尾にはバランス感覚がある。手厚く打って後半に追い込む。持久戦志向だから余計に体力を使うけれど、スタイルは以前と大きくは変わらない。

 名人がどう仕掛けるかに注目したい。それが無理気味だと思えば挑戦者は迎え撃ち、一歩引いてもバランスがとれていると判断すれば別の選択をするかもしれない。戦うまでの差し手争い、両者の微妙な駆け引きにおいて、上品というのか、格調の高い攻防が期待できそうだ。