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 盤上を見て、誰もが目を丸くするのではないか。24手目までは異様といっていい。

 リーグ序列4位の張と同7位の羽根との一戦。羽根は前期でリーグ落ちしたものの予選を勝ち上がって即復帰を果たした。両者の対戦成績は張21勝、羽根17勝。まずまず好勝負といえる。

 立ち上がりから怪しげな雰囲気が漂っていた。黒1に白2といきなりカカるのは張が時おり試みる手法。黒の様子をうかがい、その後の方針を決めるつもりなのだろう。羽根は黒3へ。素直な応手だ。

 ところが、ここで張の手が止まった。5分間、なにやらぶつぶつ言いながら、頭を抱えるシーンまであった。何を考えていたのか。黒3が想定外とは思えないから、このあとの構想についてあれこれと思いを巡らせていたことになる。

 両者、小刻みに時間を使いながら黒11まで進む。続く白12、14からは驚きの連続になった。2度の押しを決めて白16と中央に進出。黒17には白18、20、22とさらに3度も押しを決めた。いったい、どこからこんな発想が生まれたのだろうか。

 計5回の押しは「車のあと押し」の悪筋に映る。ご覧のように黒石が絶えず一歩前に進んでいるのが嫌われている理由だ。

 それでも張は打った。もちろん狙いがあるわけで、それはこのあとの盤上で確認していこう。

(松浦孝仁)

 消費 黒:34分 白:27分 (持時間各5時間)

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